TECHNOLOGY
DEVELOPMENT
技術開発
クリーンアップ技術
すみずみまで
効率的に掃除できる
日々のお掃除の負担を軽くして、ラクにキレイにできることを追求している掃除機(クリーナー)。強力なパワーと使いやすさを両立させるさまざまな技術の開発・研究をご紹介します。
吸引力とお手入れのしやすさを両立する
「 フィルターレスサイクロン 」
吸引力が落ちない
「パワーキープシステム」
サイクロンタイプの掃除機には大きく、フィルターあり(フィルター式)とフィルターなし(フィルターレス)の2種類があります。フィルター式の多くには、プリーツフィルターが採用されています。プリーツフィルターとはたくさんのプリーツ(ひだ)を付けたフィルターで、ウレタンフィルターに比べて表面積が大きいので、多くのゴミを捕獲できるフィルターです。ヘッドからゴミを含んだ空気が吸い上げられると、まず一段目で大きなゴミが捕獲されます。そして一段目を通過してしまった細かなゴミを二段目のプリーツフィルターでせき止める構造になっています。
一方、フィルターレスサイクロンは、フィルターに頼ることなく細かなゴミまで分離します。一段目で取り切れなかった細かなゴミは、二段目に配置されている小さな6つのサイクロンで分離されます。分離された細かなゴミは「粉ゴミポケット」にたまり、キレイな空気が上へ抜けていくという構造になっています。
フィルター式では、プリーツフィルターにゴミが付着していくにつれて吸引力が落ちていくため、こまめなお手入れが不可欠です。プリーツが多いほどゴミの吸着力は高くなりますが、お手入れの手間は大きくなって面倒になります。一方、フィルターを使うとサイクロン装置を小型軽量化しやすいというメリットもあります。コードレスクリーナーではコンパクトさと軽さが重視されるため、お手入れのしやすさは我慢し小型軽量を優先したのがフィルター式と言えるでしょう。
そんな中、当社は吸引力の持続とお手入れのしやすさを両立するために、高性能なフィルターレスサイクロンを追求しています。二段目に配置されている複数のサイクロンはその内部でサイクロン気流を発生させており、円筒の径が大きく数が多いほどパワフルになりますが、当然大きく重くなってしまいます。そこで、円筒をいかにスリムにし、かつ数を減らしてパワーを確保できるかがカギとなります。流体解析でのシミュレーションなどを地道に積み重ね、1g単位で軽さを追求しながら、6つのスリムな円筒からなる現在の6気筒構造を導いたのです。
丸まったゴミを
コロッと捨てられる
しかも洗えて清潔
お手入れのしやすさには徹底的にこだわっています。フィルター式に比べると、お手入れの頻度はぐっと少なくて済みますが、それでもできるだけストレスなく簡単にお手入れできる方が、掃除機を良好な状態で快適に使っていただけると考えているからです。
まず、ダストカップをつまむだけで直感的に着脱できる機構を採用しました。カップを開けると、丸まったゴミをコロッと捨てることができます。これは、強力な気流でゴミを圧縮するトルネードプレスによって、ゴミをくるくる回しながら1/4程度※1に圧縮しているからです。
粉ゴミポケットを設けることでダストカップ中央の粉ゴミ集塵部をなくすことができ、ゆとりある空間でゴミが回転できるようにしました。ゴミが最も効率的に圧縮され、キレイにまとまることを重視した、他にはない機構なのです。
粉ゴミがポケットにたまることでゴミ捨て時にゴミが舞い上がりません。
吸引したゴミがコロンと
圧縮される様子
また、汚れやニオイが気になる時には、ダストカップや回転ブラシは丸ごと水洗いできるように、パーツを簡単に分解・組み直しできる構造を徹底的に突き詰めました。乾きやすさも追求しているので、水洗い後は丸1日程度自然乾燥させるだけで使えるようになります。
単純に吸引力だけを比較すると、フィルター式が強いという特徴があります。しかし、ゴミがたまるにつれて吸引力は落ちていき、お手入れが必要となります。フィルターレスサイクロンはパワーが落ちることなく持続します。吸引力の持続とお手入れのしやすさを両立してこそ、本当に使い勝手のいいコードレスクリーナーだと考えています。
パーツは簡単に外せて、水洗い可能。内側もキレイで乾きやすい構造を採用しています。
フィルター式サイクロン機種では、風量低下により吸引力が次第に落ちていき、50日程度の使用でフィルターのお手入れが必要になる。フィルターレスサイクロン機種では、100日以上使用を続けても吸引力が持続するため、お手入れ不要といえる。
- *VC-CLS1(2020年モデル)
- ※当社試験ゴミを1g/日で吸引。1gごとにゴミ捨てを繰り返した結果。
ご使用条件によって異なります。
※1.当社試験ゴミ[繊維ゴミ(綿・紙・毛髪等)1/3質量、砂ゴミ2/3質量]による、圧縮前後の試験ゴミの体積を比較(吸込み前約520cm3、吸込み後約130cm3)。当社試験ゴミによるものであり、ゴミの種類や量などによって異なります。
強力にゴミを吸引するための心臓部
「 ハイパワーコンパクト
モーター 」
コードレスクリーナーに求められる
高度なモーター設計力
掃除機の性能を上げるために、重要なテーマと言えるのが吸引力の向上です。
サイクロン部を真空にして吸引力を生み出しているのが、ファンを回転させるモーター。ならば、モーターをできるだけパワーアップさせればよいかというと、そう簡単ではありません。単純にモーターを大きくしてしまっては、ボディも大きく重くなってしまい使い勝手が損なわれます。
また、電圧を上げるとパワーを上げられるものの、その分バッテリーが重くなってしまいますし、静音性も確保しなければいけません。コードレスクリーナーならではの難しさがあるのです。
小型軽量ながらハイパワーを実現するモーターの開発に努めました。
小型化とパワーアップを実現するためには、モーターの回転数を上げる必要があります。
しかし、回転数を上げると、回転部品の遠心力が増していきます。遠心力はモーターにとって厄介な問題で、ベアリングの破壊や振動による騒音を招き、製品寿命にも影響を与えてしまいます。そこでモーターの各部品を根本から見直すことにしました。
部品一つひとつを徹底的に見直し緻密に組み上げる
部品が高速回転に耐えられるように、マグネットの素材を従来のネオジム焼結からネオジムボンドに変更しました。この変更によって強度は上げられますが、単純に置き換えただけではモーターに不可欠な磁力は弱まってしまいます。
そこで、2極3スロットから4極6スロットへと多極化することで磁力を確保しました。多極化はモーターと関係性が深いトルク(回る力)の変動問題であるトルクリップルの改善にもつながります。そのため回転数アップだけでなく、発熱、振動、騒音の低減も実現できました。さらに、モーターの組立精度の向上に加え、部品単位のアンバランス量を修正することで振動を低減し、一層の高速回転を獲得できたのです。
性能向上のための技術開発
VC-CLX52モーターと比較して、VC-SL130DSモーターでは約18%軽量化しながら、パワー(入力できる電気エネルギー)は約18%向上。パワーウェイトレシオ(単位質量あたりのパワー)44%向上を実現しました。同時に発熱、振動、騒音も低減しています。
壁際の吸い残し問題を解決する
「 すみまでヘッド 」
掃除機の弱点とされてきた壁際にたまったゴミも諦めない
掃除機でストレスを感じてしまうのが、壁際の吸い残し。ヘッドを壁にピッタリ付けて何往復させても、吸い込めないゴミが残ってしまいます。この問題を解決するために開発したのが「すみまでヘッド」です。外観は特に変わったところのないヘッドですが、そこにはさまざまな画期的な機構が盛り込まれています。
そもそもなぜ吸い残しが発生してしまうのでしょうか。ゴミはヘッド裏側の吸引口から吸い込まれます。絨毯(じゅうたん)や布などの上でもゴミをしっかり吸い込むために、吸引口には床面のゴミをかき上げる回転ブラシが付いています。このブラシを回転・保持するための機構が両端に配置されており、その分だけデッドスペースが生じます。これが吸い残し問題の原因です。
常識にとらわれない大胆な設計変更と
画期的な「すみまでブラシ」の採用
そこで、これまでヘッドの端にあったベルトを中央位置に移動させました。これにより回転ブラシを左右ギリギリまで伸ばし、従来約25mmあったデッドスペースをなくしました。
また、ヘッド左右の外側に壁際のゴミをからめ取るための「すみまでブラシ」を装着。実際に掃除をしながらブラシの種類・長さ・向きの最適策を追求し、ついに内向き・外向きを両立するブラシ形状にたどり着きました。これにより、壁際0mmまでゴミを取り切るヘッドを完成させることができたのです。
さらに「すみまでヘッド」には床の菌を除去する効果もあります。ヘッドを往復させた床の菌を除去*し、清潔な暮らしをサポートしてくれます。
*菌の除去効果は床面の状態により異なります。また、液体などが乾燥して付着した汚れに含まれる菌、フローリングの段差や溝に入り込んだ菌は取れない場合があります。99%の除去効果は拭き掃除直後のものであり、長時間の効果を保証するものではありません。長期間の使用によるブラシの劣化等で99%の除去効果は減少することがあります。【試験依頼先】(一財)北里環境科学センター【試験方法】菌を付着させた試験板をヘッドで5往復掃除した直後の菌の除去率を測定【試験結果】菌の除去率99%【報告書番号】北生発2024_0101号
多くのコードレスクリーナーではヘッドの左右に5〜25mm程度のゴミ吸い残しが発生します。「すみまでヘッド」はヘッドの左右両側において、壁際0mmまで吸い残しなしを実現しました。
※CG画像、イラストは全てイメージです。