東芝ライフスタイルの取り組み
製品環境技術

省エネ技術と快適性の両立

エアコンは家庭の消費電力量の多くを占めるため、省エネ性能のニーズが高い傾向にあります。
厳しい省エネ達成基準をクリアするため、部品や配置の最適化を常に検討しています。
最新のエアコンは、2011年の機種に比べて期間消費電力量を5~20%削減することに成功しています。

※2011年ハイエンドモデルJDRシリーズと2024年ハイエンドモデルN-DRシリーズのJIS C 9612:2005に基づく期間消費電力量を比較
従来消費電力を20%DOWN!

熱交換器の最適設計

熱交換器

熱交換器とは、エアコン内部に取り込んだお部屋の空気を冷やしたり、暖めたりすることで、空気の温度を調節する重要な部品です。その「熱交換器」を最適設計し、より高い運転効率を実現しました。


従来の標準的な熱交換器は、平板のアルミフィンを3つに折ることで「コの字」の形を作っています。
1枚1枚のフィンは直線状でシンプルな形をしており、フィンに通す配管の太さや配置も統一されているため大量生産が容易な構造になっています。

一方、今回の製品で採用した熱交換器のフィンは「円弧型」と呼ばれるブーメランのような形状をしています。
これにより製品の室内機に合わせたフィン形状を作ることができ、さらに、配管の太さや配置も最適化したことで、より高い運転効率を実現しました。まさに「エアコンの性能を最大限に引き出すことに特化した熱交換器」を採用しています。

室内機・室外機の送風効率向上

室外機ファン

室内機ファン

室内機、室外機の送風効率アップが、省エネ性能向上の重要なポイントになります。室内機・室外機のファンや送風路の構造などを改良することで、効率アップを図りました。


ファンについては、ブレード(羽根)の厚さや形の最適な形状を追求しました。
羽根に切り欠きを加えたり、厚さを不均一にしたりするなどさまざまなパターンを検討し、細かな変更を加えながらシミュレーションを重ねることで、送風効率の向上に繋げることに成功しました。

さらに送風路の構造や、ファンガードの網目の形状といった要素の研究開発により、効率アップを図りました。

熱交換器の最適設計や、
細部まで部品を調整し運転の効率向上を追求
「節電」をするために「快適さ」を損なうことは、本来のエアコンの役割ではないと考えています。
「快適さ」「省エネ」の両立をテーマに、さまざまな機能の開発に取り組んでいます。

日差しを感知してパワーを調整する「日あたり節電」や、心地よい風で体感温度を下げる「節電冷房」など、様々な機能で、快適な暮らしをサポートします。
また、これらの機能は消費電力を少なく運転することができるため、暑さや寒さを我慢せず、電気代も節約することができます。

日あたり節電・不在節電

日あたり節電※1は、日のあたり方や室内の外光による明るさを照度センサーで検知して、自動でパワーを抑えることで節電を行う機能です。 レーダーや人感センサーを搭載しているエアコンでは、不在節電※2を行うこともできます。センサー類で部屋に人がいるかをチェックし、不在の状態が一定時間続くと自動でパワーを抑えて電気の無駄使いをなくします。

●上記は暖房時のイメージ図です。冷房時は逆の動きになります

●RAS-N402DRにおいて、当社独自の条件により評価

●RAS-N402DRにおいて、当社独自の条件により評価

レーダー

●RAS-N402DRにおいて、当社独自の条件により評価

移動体の探知デバイスとして幅広く使われている「レーダー」を初めて※3エアコンに搭載しています。
人の位置を高精度で探知することが可能になり、従来のセンサーでは難しかった、高速かつ正確な風向制御を実現しています。

さらに、このレーダーを節電にも活用。人を狙って風を送りながらパワーを控えめにして消費電力をおさえる「節電冷房※4」を搭載しています。風が直接当たることで人の体感温度が下がるため、必要以上に周りの温度を下げる必要がなくなり、節電を実現します。

プラズマ空清

室内に漂っているPM0.1※5や花粉※6・カビ※7など目に見えない汚れまで静電気の力でキャッチして屋外へと排出し、部屋の空気をきれいにする空気清浄機能を内蔵しています。エアコンのシーズンではない春や秋にも空気清浄機能だけで使うことができます。またプラズマ空清ユニット自身の消費電力は1~2W程度です。エアコンと空気清浄機を別々に使うよりも電気代を節約しながら1年を通して使うことができます。

●実使用空間での実証結果ではありません

1.汚れを吸い込む
室内の空気を吸い込む

2.汚れを帯電
空気中の汚れをプラズマ空静ユニットで帯電

3.汚れを熱交換器に吸着
帯電した汚れはマジック洗浄熱交換器に吸着

4.汚れにUV照射
吸着した汚れにUV照射し菌を抑制※8

5.汚れを屋外に排出
吸着した汚れは結露水と共に屋外に排出

さまざまな自動節電機能で、快適空間をキープ
 

常に省エネ性と快適性の双方を追求し、コンプレッサーやインバーターの開発から高精度な風向制御の開発など、様々な面から改良を続けてきました。これからもその理念は変わらず、「大清快」のコンセプトである「大きな省エネ」「清らか空気」「快適空調」の3つのポイントを軸に開発を続けていきます。

特に省エネ性においては簡単に性能アップできる魔法のようなものはなく、わずかな改善効果を辛抱強く積み重ねていくことが非常に重要です。また、省エネ性だけを追求すると製品サイズに影響してしまいます。日本の家屋に設置できるサイズは限られているほか、お客様もコンパクトでインテリアを邪魔しないエアコンを求めています。

さらに製品の小型化は輸送効率アップや資源の削減にも繋がります。エアコンの小型化と省エネ性能の向上を両立させることが今後の課題です。

※1冷房:当社環境試験室(11畳)にて、通常冷房運転と日あたり節電運転との比較。外気温35℃、設定温度「24℃」、風量「自動」にて、安定時1時間の消費電力量の比較。通常冷房運転時262Wh、日あたり節電運転時220Wh。暖房:当社環境試験室(11畳)にて、通常暖房運転と日あたり節電運転との比較。外気温7℃、設定温度「20℃」、風量「自動」にて安定時1時間の消費電力量の比較。通常暖房時510Wh、日あたり節電運転時480Wh。(エアコンの設置環境、ご使用条件により効果は異なります)

※2冷房:当社環境試験室(11畳)にて、人がいる時といない時の比較。外気温35℃、設定温度「24℃」、風量「自動」にて、不在時間が2時間経過後の安定時1時間の消費電力量の比較。人がいる時262Wh、人がいない時187Wh。暖房:当社環境試験室(11畳)にて、人がいる時といない時の比較。外気温7℃、設定温度「20℃」、風量「自動」にて、不在時間が2時間経過後の安定時1時間の消費電力量の比較。人がいる時510Wh、人がいない時320Wh。(エアコンの設置環境、ご使用条件により効果は異なります)

※3家庭用エアコンにおいて、レーダー探知器を使用し人の動きを探知する仕組みについて。2022年11月発売(当社調べ)。

※4当社環境試験室(11畳)にて、通常冷房運転と節電冷房運転との比較。外気温35℃、設定温度「24℃」、風量「自動」にて、安定時1時間の消費電力量の比較。通常冷房運転時1,132Wh、節電冷房運転時662Wh。(エアコンの設置環境、ご使用条件により効果は異なります)

※5【試験機関】暮らしの科学研究所(株)【試験方法】57㎥試験チャンバー内にタバコ(5本)の煙を発生させ、エアコンを空清運転。
経時的にチャンバー内(室内中央・床上92cm)の粒子濃度を測定。【試験結果】空清運転前に比べ、90分で98%減少。(N-DRシリーズ)【報告書No.】LSRL-42021-F113

※6【試験機関】新日本空調(株)【試験方法】60㎥評価試験ルーム内に30㎛のAPPIE標準粉体を浮遊させ、エアコンを空清運転。
経時的に評価試験ルーム内(室内中央・床上120cm)の粉体数を測定【試験結果】空清運転前に比べ10分で99%減少 (N-DRシリーズ)【報告書No.】A391-22002号

※7【試験機関】(一財)北里環境科学センター【試験方法】25㎥試験チャンバー(密閉空間)内にカビ胞子(1種類)を浮遊させ、エアコンを空清運転。
経時的にチャンバー(密閉空間)内の浮遊カビを捕集し、カビ数を測定【試験結果】空清運転前に比べ34分で99%減少 (N-DRシリーズ)【報告書No.】北生発2022_0068号

※8【試験機関】(一財)北里環境科学センター【試験方法】25㎥試験チャンバー(密閉空間)内に菌(1種類)を浮遊させ、エアコンの空清運転(UVなし)を90分間実施。25㎥試験チャンバー(密閉空間)内を浄化させ、エアコンの空清運転によって熱交換器に捕集した菌の数を測定した後に、エアコンの空清運転(UVあり)を240分実施し、熱交換器に捕集した菌の数を測定【試験結果】エアコンの空清運転(UVあり)実施前に比べ99%減少【報告書No.】北生発2022_0225号